梅雨明けとともに本格的な夏が訪れ、強い陽射しの下でワンコと水遊びをする機会も多くなるかと思います。そんな時に、ひとつ頭に入れておきたいのが、湖や池・沼などに発生する微細藻類のアオコ(青粉)です。一部のアオコには強い毒素を発生させるものがあり、愛犬が水遊びの際に水を口に入れてしまわないよう注意しなくてはいけません。
青酸カリの約60倍の毒!
陽射しの強い夏、微細藻類のアオコ(青粉)は、水流の停滞する湖や池・沼などで一帯が緑一色になるほど大量に発生することもあります。
発生によって様々な害がありますが、ワンコにとって(飼い主にとっても!)注意したいのがその毒素。アオコの代謝産物であるミクロキスチンという(青酸カリの約60倍の毒性ともいわれる)毒素によって肝臓組織が破壊され、その結果、急性肝不全を引き起こします。たとえ、水場の片隅にアオコが少しあった場合でも、その毒素が溶け出した水を飲んでしまえばアウトです!
欧米では犬の死亡報告も
実際に、欧米ではアオコによって人や馬・羊・牛などの家畜、また、水遊びをしていた犬が死亡するという事故も報告されています。
1991 年、オーストラリ アのマーレー・ダーリング川水系で大規模なアオコが発生し、岸辺の水を飲んだ 2000 頭近くの牛や 羊が死ぬという被害がありました。家畜は表層の 水を飲むため、浮かんでいるアオコを一緒に飲ん でしまいがちです。海外では、アオコの発生する 湖沼の岸辺でペットを遊ばせないように、インタ ーネット上で“注意報”を発表しているところもあります。
幸いなことに、日本国内では目立った健康被害は報告されていませんが、 アオコが作り出す毒素は多くの湖沼で発見され、ある鳥の死亡原因がアオコ毒によるものだとの予想報告もあります。
近年、北海道の湖などでも発生が確認されているアオコ。避暑地などで水遊びをする際はもちろん、すべてのアオコに毒があるわけではありませんが、湖や池、沼の近くで走りまわって遊ぶ際にはアオコの危険を頭の片隅に置いておき、できるだけ避けた方がいいことは間違いありません。